バトルスの作品と評判

バトルスのセカンドアルバム「グロス・ドロップ」をリミックスアレンジにて再構築した一枚「ドロスグロップ」は、新たなバトルスの可能性を感じさせる作品として、大きな話題を呼んでいます。とにかく特長的であるのが、バンドメンバーが自ら人選した、リミキサー陣です。

 

「Polyfolk Dance EP」、「Butter」のハイクオリティなサウンドメイクで評価を得る、ハドソン・モホーク、セッションミュージックからのし上がったニューヨーク出身インディーズシーンバンド、ギャング・ギャング・ダンスと言った、同じく注目を集める実力派アーティスト、クリエイターらを起用しています。緻密さが特長的なバンドサウンドに、それぞれの個性、技術が乗ることで、また新たな域の音楽を実現した形となっています。それ以前のバトルスしか聴いたことのない方には、良い意味で衝撃を与えることでしょう。

 

きっかけは、世界各地のインディペンデントなレコード店の盛り上げ企画「レコードストア・デイ」へ焦点を当てた制作においての取り組みです。2011年に原盤である「グロス・ドロップ」を発表し、そのプレミアアナログをそれぞれリミキシングナンバーとして、一つにまとめ上げた作品となっています。

 

またもう一点、忘れてはならない制作に至った理由があります。それは2010年に脱退を発表した、ボーカル等を担当していたメンバー、フリージャズ界の巨匠と呼ばれるアンソニー・ブラクストンを父に持つ、タイヨンダイ・ブラクストンの存在です。ボーカル不在となったバトルスは、ひとまずゲストボーカルを招く形で活動していましたが、現在も尚、固定ボーカルは決まっていないままです。

 

そして「グロス・ドロップ」においてもその方針を取り入れており、ゲイリー・ニューマン、マティアス・アグアーヨ、ブロンド・レッドヘッドのカズ・マキノ、そしてボアダムスの山塚アイと言った、日本人メンバーも加えつつのプロジェクトとしてディスクを完成させています。

 

そしてそこで、今リミックス作において企画したのが、各実力派リミキサー陣とのコラボレーションだったのです。欠けたボーカルを補う形で、色とりどりの才能を取り入れました。ですがその動きは、冒頭の通りグループに新たな風を吹き込む形ともなり、良い意味で可能性の幅を広げる役割をも果たしました。

 

ストイックな音づくりと言う基盤に置かれた個性に、明るさや奇妙さ、聴きやすさ、ノリなどが加えられ、視聴層拡大にも繋げられた形です。今後のさらなる進化からも、目が離せないと言った所です。