元「ドン・キャバレロ」「ストーム・アンド・ストレス」と言った経歴を持つイアン・ウィリアムス、音楽家系にて育ったタイヨンダイ・ブラクストン、元「リンクス」であるデイヴィッド・コノプカ、そして元「ヘルメット」「トマホーク」のジョン・ステイナーの4人からなるバトルスは、特長的なヒリヒリ感際立つサウンドメイクで人気を誇るエクスペリメンタルロックバンドです。
アメリカはニューヨーク出身で、洋シーンで脚光を浴びる存在ですが、日本のチャートでも高い評価を得ており、知名度を誇ります。
2010年にはメンバーの一人であるタイヨンダイが脱退しましたが、以降もゲストボーカルを迎えての「グロス・ドロップ」においてヒットを記録するなど、変わらない活躍を続けています。そしてそのリミックスディスクとして発売する「ドロスグロップ」が、複数に渡る彼らの作品群においても、特に高い注目を集める存在となっています。
原盤のナンバーへ各ジャンルで実力を誇る豪華リミキサー陣がアレンジを加えており、それまでのバトルスにおけるカラー、緻密性を引き継ぎつつも、一線を隔した作品となっています。テイスト自体も、かのタイヨンダイ所属時期からは大きく変わり、音色にシンセサイザーを取り入れたりと、ブライト感も備わった聴きやすい性質へと変化しました。
アレンジメンバーはそれぞれ、ハドソン・モホーク、ギャング・ギャング・ダンス、ヤマンタカ・アイ、フィールド、コード9、ギ・ボラットと言ったラインナップです。いずれもバトルス同様、ホンモノ志向の実力派が集結した形となっており、こだわりのこもった人選となっています。また人選を3人の現行メンバーが自ら行っている点も、その面の一つと言えます。
そしてさらには、原盤ディスクのモチーフを写したジャケットへ4色のカラーソースをぶちまけたようなアートワーク面もまた、ギター・ベース・エフェクトを担当するデイヴ・コノプカが担当していたりと、音楽性同様にストイックな部分感じられる仕様となっています。彼らの個性・才能・方向性が隅々まで表された、ファンにとってのたまらない仕上がりと言えます。
エクスペリメンタルロックの他、ポストロック、ポスト・ハードコア、プログレッシヴ・ロック、マスロックなど、多彩な音楽性を表現する、バトルス。紆余曲折を経つつも、さらなる可能性へと挑戦するその取り組みから、目が離せません。洋コアロックにあまり知識のない方にとっても、きっと満足のいく音源となることでしょう。
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