バトルスの作品と評判

「史上最高のリミックスアルバム」とも称される「ドロスグロップ」は、豪華なリミキサー陣を起用したバラエティ性豊かな作品となっています。2012年の発売以降、ファンの間、そして音楽シーン全体を通しても、高い注目度を誇っています。

 

また、そう言った広い層からの支持は、音楽性による影響も関連しています。同アルバムの原盤である「グロス・ドロップ」にも近い傾向が感じられるのですが、とにかくそれ以前の楽曲以上に「聴きやすさ」の感じられるラインナップとなっています。クオリティを追求するバトルスならではのストイックさも去ることながら、軽快なシンセサイザーを加えたり、また独自性の高いリミックスアーティストとのコラボレーションを取り入れたりと、コアなファンでなくとも聴き入れやすい一枚としています。

 

エクスペリメンタルロックバンド・バトルスは、イアン・ウィリアムスを中心に、ジョン・スタニアー、デイヴ・コノプカと言った、既に数々のキャリアを経た実力派メンバーで結成された一流バンドです。当初はもう一人、タイヨンダイ・ブラクストンも所属していましたが、2009年に彼のソロアルバム「Central Market」をリリースして以降に脱退し、現行の3人体制となりました。そして、その流れでプロジェクトされたのが、「グロス・ドロップ」「ドロスグロップ」の2タイトルとなります。

 

ボーカルをタイヨンダイが努めていたため、2作ともゲストアーティストを招いての展開となっています。まず前者アルバムでは、ゲイリー・ニューマン、マティアス・アグアーヨ、カズ・マキノ、山塚アイを、そして後者本作においては、ハドソン・モホーク、ギャング・ギャング・ダンス、ヤマンタカ・アイ、フィールド、コード9、ギ・ボラットと言ったリミキサーが加わる形で制作リリースに至りました。

 

またさらには、日本展開の際に置ける音楽ライターにも著名作家の名が上ります。テクノシーンや他のアーティスト達に多大な影響を与えたユニット・レーベル、アンダーグラウンド・レジスタンスとも親交のある野田努がライナーノーツを手がけており、その面でもまた注目を集める一作です。
数々の実力者が参加することによって、タイヨンダイの抜けた穴を余りある才能で補った形で完成された、「ドロスグロップ」。日本盤特典であるダウンロード専用トラック「Inchworm(Silent Servant Remix)」、「Toddler(Kangding Ray Remix)」それぞれのロングバージョン展開なども加わり、多大な注目が寄せられる、バトルスを代表するリミックスアルバムとなっています。