2002年に結成された、元「ドン・キャバレロ」、「ストーム・アンド・ストレス」のイアン・ウィリアムス、アンソニー・ブラクストンを父に持つことでも知られる、タイヨンダイ・ブラクストン、元「リンクス」所属のデイヴィッド・コノプカ、そして「ヘルメット」、「トマホーク」での活動が代表的なジョン・ステイナーからなる4人組バンド、バトルス。インストゥルメンタルカテゴリーをベースに、かつボーカルパートも効果的に取り入れる柔軟な音づくりが特長的なグループとなっています。
2007年、国内ロックフェスに向け来日した際、彼らはインストを良く思わないとするコメントをインタビューにて繰り広げています。歌のラインが入らないサウンドは退屈であり、そこに甘んじたままではいたくないと言った旨のものです。そこで効果的な役割を果たしているのが、ボーカルの他、ギター・キーボードの担当を受け持つタイヨンダイ・ブラクストンです。
それまでのインストサウンドとは一転、大々的に声パートを取り入れたファーストアルバム「ミラード」は、まさにそのスタイルを象徴する一枚となっています。とは言え、もちろんインストバンドにおける活動へも誇りを持っています。その点の有無における質問に対し、一般的な同ジャンルとは一線を隔す、「退屈させないインストゥルメンタルミュージック」であると言った表現を用いて、返答しています。洋邦シーンともに注目を寄せる、新時代のロックバンドとしてのプライドにおわせる回答と言った所でしょうか。
「ドロスグロップ」は、そんな彼らの革新的な取り組みの中でも特に主立った展開です。この作品の原盤である「グロス・ドロップ」以前に、惜しまれながらも脱退したボーカル、タイヨンダイの穴を埋める意味合いでも企画された、リミキシングプロジェクトによる一枚となっています。ゲストボーカルだけではなく、気鋭のクリエイター陣なども起用することで、また新たなバトルスの可能性引き出したアルバムとなりました。
そんなリミキサーの中でも特に注目度高い一人に、ハドソン・モホークが挙げられます。ソウル・ヒップホップ・ジャズと言った、別ジャンルの音色を混在させることで新たな
音像を確立する彼ならではのアレンジとなっており、メインボーカルの抜けた穴を余りある才能で補った形となっています。
そんな彼とのコラボ作品は、10曲目の「Rolls Bayce」として収録されています、これまでにないバトルス音源のカラーに、衝撃を受けること必至です。
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